私たちは子供に何ができるのか

子育て

今回紹介する本は、ポール・タフ著(高山真由美【訳】)の『私たちは子供に何ができるのか』です。

この本は、これまで重視されてきたIQや学力などの「認知能力」よりも「非認知能力」の影響力が大きいことが明らかになりつつあります。非認知能力に焦点を当てた早期教育の子供一人当たりの投資効果は非常に高い効果を生むことがわかっています。子どもの期間に適切な環境と関わりを持つことは、子どもたちの非認知能力の育成やその後の人生において犯罪率が低かったり、年収が高かったりと決定的に重要な意味を持つようです。本書では、アメリカ合衆国における教育の状況で、富裕層と貧困層の子供の成績格差等を縮めるために非認知能力を育むための数々の事例を紹介し、そこから得られた知見を提示しています。

それでは、要約と印象に残った言葉などを書き出していきたいと思います。

非認知能力とは

やり抜く力、好奇心、自制心、楽観的なものの見方、誠実さ、など

非認知能力は子供を取り巻く環境の産物である

非認知能力を伸ばすには環境に働きかけるべきである

ストレス

ストレス要因が子どもの心と体の健全な発達を阻害する度合いは大きい

感情面でみると、

幼い時期に慢性的なストレスを受けた子供は、失望や怒りへの反応を抑えることに困難を覚える

認知面でみると、

不安定な環境で育ち、そうした環境が生む強いストレスにさらされた場合、前頭前皮質が制御する、実行機能と呼ばれる一連の能力の発達が阻害される

子供が感情面、精神面、認知面で発達するための最初にして極めて重要な環境は、家・家族である

子供は親の反応によって世界を理解しようとする

子供たちが受ける圧力(良いもの悪いものも含め)の外部調整装置となること

トラウマ

ごく小さい時期に有害なストレスを経験すると、きわめて深刻な発達の中断が起こり、免疫システムや実行機能、心の健康が損なわれたるする

ネグレクト

世話する人間がときどき注意を払うのを怠る弱いネグレクトと虐待である過酷なネグレクトの両極の間に子供にあまり反応せず、積極的に関心を寄せたり、きちんと向き合ってやりとりをしたりといったことがない「慢性的な低刺激」がある

「慢性的な低刺激」を経験した子供は、上手に友達を作れない傾向があり、認知力や言語の発達が遅れ、実行機能に問題を生じることもある。集中することが苦手になる。

幼児期の介入

6歳未満の幼い時期、特に3歳未満の時期こそが発達を促す絶好のチャンスでもあり、危機が潜む時期でもある。

アタッチメント

生まれて最初の12ケ月のうちに温かく気配りの行き届いた子育てを経験した子供は、親と強い結びつきを形成する。この結びつきによって、子どもの心に安心感と自信が深く根づき「心の安全基地」ができる。

これがあると、成長したときに自力で思いきって世の中の探検へと乗りだしていけるようになる。

モチベーション

「自立性」「有能感」「関係性」の3つを促進する環境を教師が作り出せれば、学習のモチベーションは上がる

自律性

自分で選んで、自分の意志でやっているのだという実感を最大限に持たせ、管理、強制されていると感じさせないとき

有能感

やり遂げることはできるが簡単すぎるわけではないタスク(現在の能力をほんの少し超える課題)を与えるとき

関係性

相手から好感を持たれ、価値を認められ、尊重されていると感じるとき

メッセージ

生徒たちが自分のポテンシャルについてのメッセージ(肯定的なものであれ、否定的なものであれ)に最も敏感になるのは、失敗の瞬間である

失敗が自分の能力への最後の審判だと思えば、その生徒はあきらめてしまい、学校から距離を置くだろう

失敗は一時期的なつまずきに過ぎず、学んだり改善したりするための貴重なチャンスであるというメッセージを受け取れば、挫折はその生徒をより勉強に打ち込ませる推進力になる

感想

その子供の周囲にある環境が、良くも悪くも影響を与えていて、幼少期特に3歳未満では非常に大きいのもであるようですね。ストレス、ネグレクト、家庭環境などの因子で子どもの発達において、大きな影響が与えてしまい、後に学習や感情コントロールに問題を起こしてしまう可能性がありそうです。著者は政策、行動、考え方を変えることが解決策になると書かれていましたが、政策はちょっと難しいので、行動、考え方は自分の可能な範囲でできることをしていきたいと思います。

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