女性の大きなイベントの一つでもある出産、そしてこれらか成長していく子供に対して、楽しみや心配事など、さまざまな感情が込み上げてくると思います。特に最初の子供に関しては、まったくわからないことだらけだと思います。
そんな方にお薦めする本の紹介です。2児の母で、ブラウン大学経済学者教授であるエミリー・オスター著(堀内久美子 訳)の『米国最強経済学者にして 2 児の母が読み解く子どもの育て方ベスト』です。
この本は、出産直後から就学までの子育て、子供の成長に関するデータが集約されています。親になると、どの程度正しいのかわからないたくさんのアドバイスをもらう機会が増えると思います。また、子育てには予想外のことが起こり、自分で思っているよりずっとコントロールができません。しかし、コントロールできなくても選択肢はあります。それにはデータが意外と役に立ちます。そして、乳幼児期の子育てについて質の良い情報と自分の家族にとって最善の決定をするための方法を提供し、親のストレスを少しでも解消することを目的としています。ママだけではなく、パパにもお勧めできる一冊となっています。
それでは、第1~4部に分かれており、各章の内容をぎゅ~っと絞って要約をしていきたいと思います。
第1部 出産直後
病院で経験するかもしれない問題(処置や症状)や退院後の最初の数週間についてです。
この章では、生後間もなく、場合によっては出産前に決めておきたい大きな問題(母乳育児、予防接種など)が書かれています。
新生児はほぼ全員が出生後に体重を減らすということ
特に母乳育児の赤ちゃんは減少量が多いようです。臍帯からの栄養摂取から自分で栄養を摂らなければならないことや出生後数日は母乳も少ないことなどで起きます。
病院のスタッフは赤ちゃんの体重の増減をチェックします。それをママに報告するので、特に最初の子では初めて尽くしなので、子どもに何か悪いことが起きているのではないかと人によっては不安を掻き立てられるでしょう(我が家のママも少し不安がっていました)。
体重チェックの目的は、起こりうる問題を早期に対処可能なうちに見つけることということを知っていれば安心です。ただし、標準範囲も同時に知っておくことも大切です。経腟分娩より帝王切開で生まれた赤ちゃんの方が体重減少がやや大きいようです。
人工乳だと体重があまり減らないようです。母乳の出がよくなるまでに時間がかかるが、ミルクはそれがないからです。
「おくるみ」は必要?
おくるみを使いたいなら、普通のブランケットを使ってはいけない。病院の看護師なら一見簡単そうに巻いているようにみえるけど、普通の人には再現不可能で無理であることに気づきます。幸いマーケットがこの問題を解決してくれており、赤ちゃんが抜け出せないようにきっちりくるめるおくるみブランケットが揃っています。
おくるみを使った赤ちゃんは、全体的により長時間眠り、レム睡眠も長かったよいうです。
懸念材料と注意点は、常時きつく巻く習慣があると、発育性股関節形成不全になるリスクがあります。したがって、おくるみは足を動かせるように巻くことが絶対に必要です。
こうなったら「黄昏泣き」
検査で診断できる病気ではなく、特定できない理由でよくなく赤ちゃんの状態を指す言葉です。
一般的な定義は3のルールとされ、1日3時間以上、週に3日以上、3週間以上説明のつかない理由から赤ちゃんが泣くことです。
この黄昏泣きは「自然に治る」ということです。一般には3か月前後でなくなるようです。
第2部 1歳まで
意見が分かれる子育て初期についてです。
意思決定をするには因果関係があることを知るのが重要であるが、データは決して完全ではないとも述べています。それぞれの家庭にとって正しい選択をすればよいと書かれています。
「母乳育児」神話
誰もが母乳育児を「いいこと」と思っている。しかし、母乳育児が大変だったという女性は大勢いるそうです。
ママがどんなに頑張っていても、たくさんの人たちから母乳育児のメリットが強調されることで、必ずうまくいくとは限らないので、苦しまなければならなくなります。
その罪悪感にかられるママへの朗報は、乳幼児期の健康問題(一部の病気から守れる)以上に、母乳育児の長期的な影響には有力なエビデンスが全く見つからなかったということです。
母乳
母乳育児は多くの女性にとって難しいことで、懸命に頑張っている女性はたくさんいます。特に初めての出産ではよけいに大変です。決してあなただけではないことと思っていただきたいです。
出産から母乳分泌までの日数は、ほぼ4分の1の女性が3日を超える遅れを経験しており、初産の女性では35%ともっと高くなるようです。
母乳育児のママには食事制限はほとんどないようです。高水銀の魚だけだそうです。カジキ、キングマカレル、マグロだそうです。
カフェインに敏感な赤ちゃんがいるようです。騒いだり、苛立ったりする子もいるようなので、自分の子に当てはまると思ったら、控えた方がいいです。
子供は1日に「合計」どれくらい眠る?
生後2か月あたりで、平均最長睡眠時間が大きく跳ね上がり、夜間の睡眠が確立します。この時点からは、子どもの月齢が上がるとともに増加は緩やかになります。
平均お昼寝回数は、生後9~10か月に2回、18~23か月に1回並行していきます。
睡眠の合計時間は、新生児の平均は1日16時間、1歳では13~14時間に減少します。
しかし、子どもによって睡眠時間がかなり違うこともわかるようになってきています。例えば、6か月の赤ちゃんでは夜6時間しか眠らない赤ちゃんから15時間眠る赤ちゃんまでがいたようです。
起床時間はどの子もあまり違いがないようです。
生後5~6か月でも、過半数の子供は午前6~8時の間、2歳になる頃には、6時半~7時半になるようです。
睡眠時間を多くしたければ、現実的に起床時間を遅くできないので、寝かせる時間を早くするべきかもしれないようです。
予防接種
ワクチンは病気と苦しみ、死を予防し、受けない理由がないほど有効で安全です。
予防接種開始スケジュールにはしかるべき理由があり、絶対に守った方がいいです。
まれに一部の人にアレルギー反応があるが、治療可能です。
ワクチンの影響で機嫌が悪くなる赤ちゃんがいます。
離乳食
離乳食を始める適正な時期については議論があるようです。
特に開始時期が早すぎると、将来肥満になるのかどうかが問題にされています。しかし、離乳食を6か月より遅らせることはあまり問題にはならないようです。
離乳食を始めた子供が1つの食品を繰り返し摂取すると、その食品がもっと好きになるとランダム化のエビデンスがあるようです。それは果物だけではなく野菜や苦い味のものにも効果があるようです。
2歳前後で好き嫌いが激しくなり、小学生になると徐々になくなっていくようです。
ビタミンが不足する子は極めてまれであり、変色と思われる子供でもほとんどのビタミンは足りているはずです。
母乳育児の赤ちゃんには鉄分が不足することがあるが、人工乳は鉄分やビタミンDやそのほかのビタミンも含んでおり、一時的であれ、粉ミルクを使っていた赤ちゃんには起こりにくい問題でしょう。
第3部 赤ちゃんからトドラー(よちよち歩きの子供)へ
身体の成長と言語の発達についての目安と育児法についてです。
多くの親は一時期であっても、子どもが正常な成長を遂げているのかが心配になる。また、テレビやスマホの視聴時間や幼稚園の選択、しつけの問題などエビデンスに基づく育児法は徐々に難しくなるが、一般的が原則は学ぶことはできると書かれています。
うちの子の成長は平均?
歩き始めや話始めは、いつから?うちの子は遅い?など、期待された時期に目安に達しないと親は心配になります。
この問題の一つは、平均的な月齢や年齢が中心になっていることで、成長はばらつきがあることという事実が抜けていることです。
なぜ平均的な運動能力などを評価するのかというと、基準の分布範囲を外れた子供を見つけ出し、早期の発達の目安からかなり遅れた子供の方が、発達上の重大な問題がある可能性が高いからです。
遅い歩き始めの長期的な影響は、エビデンスはほとんどないです。
歩き出しや、ひとり立ち、寝返りなどが早いことが、将来と結びつくと考えられるデータはなく、早く歩く子などがアスリートになるかはわからないようです。
テレビの視聴
2歳まではテレビから学ぶことは難しく、子どもが話す単語数と語彙の増加速度に最も影響するのは、親が本を読み聞かせたかどうかであると指摘してます。
3歳以降ならテレビから学習ができるようです。
幼児期のテレビの視聴が後の学力テストの得点に悪影響を及ぼすことを示すエビデンスは見つからなかったようです。つまり、テレビ視聴と学力に因果関係はないということです。
トイレトレーニング
トイレトレーニングの終了平均年齢は時代とともに少しずつ上昇しています。
21~30か月の間に始めると終了年齢はあまり変わらないようです。
早く始めると終了までの期間は長くなります。トレーニングの期間は1年に及びます。
終了時期を気にするなら、27か月より前に始めるのはあまり意味がないとされているようです。しかし、それ以降は速く始めた方が一般的に早く終われるようです。
おむつにうんちをしたがる子供は多く、トイレトレーニング中に子どもの4分の1は経験をするようです。
おねしょは6歳までなら問題ないようです。5歳の時点でおねしょをしない子は80~85%だそうです。また、大半は男児であるが、結局はほぼすべてが解消されるようです。
第4部 家庭生活
円満な家庭生活を送るについてです。
子供が生まれるといきなり親も生まれるという事実。そして、親もまた人であるということ。家族にとってどうするのがいいかをみんなで話し合うべきだと書かれています。また「次の子供」についての考え方も書かれています。
よきパートナーでいつづけるには
夫婦生活は出産後「悪化」するようです。
出産前と子供の学齢期の間で、結婚生活の満足度が低い母親の割合は、12から30%に徐々に上がっていくが出産後1年間は急上昇するようです。この満足度は孫が生まれるまで元に戻らないようです。
子どもが生まれる前に満足していた人の方が、回復度が大きく、計画妊娠の方が計画しなかった妊娠よりも影響が少ない傾向がみられるようです。
普段自分のやっていることは十分に分かっているが、相手のやっていることも、多少はわかるかもしれないが、はっきりとはわかっていないものなので、お互いのやっていることを知ることが大切です。
次の子ども
子どもを何人も持つかは個人的な問題なので、それぞれの家庭の好みがあると思います。
子どもの数が学歴やIQに与える影響はおおむねかなり少ないようです。
ひとりっ子でも社会性は心配はなく、ひとりっ子のほうが学問へのモチベーションが高いというエビデンスがあったものの、外向性のような性格の差はなかったようです。
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