今回は、アンジェラ・ダックワース著書の『GRIT やり抜く力』を紹介します。
この本は、「生まれつきの才能」は重要ではなく、長期的な目標に向けた「やり抜く力」にかかっていることを説いています。持っている能力を十分に発揮するために「やり抜く力」の伸ばす方法も提示してくれている内容となっています。
それでは、印象に残った言葉などをまとめていきます。
「やり抜く力」とは何か?なぜそれが重要なのか?
「やり抜く力」の秘密
米国陸軍士官学校に入学を許された1200名の士官候補生を研究。士官候補生の5人に1人は卒業を待たずに中退してしまう。最後まで耐え抜く人は「どんな人」か?を調べる
成功の要因は「生まれつきの才能」は重要ではなかった
「やり抜く力」が強い人は「情熱」と「粘り強さ」を併せ持っていること
志願者総合評価スコアについては、訓練を耐え抜いた者と脱落したものとの間にスコアの差はほとんどなかった
「やり抜く力」と「才能」は別物である
才能があっても、その才能を活かせるかどうかは別の問題
「才能」では成功できない
同じ能力なら「努力家」より「天才」を評価してしまう
「努力家タイプ」と「天才タイプ」の2名の起業家のうち、どちらを支援したいかと尋ねた場合、参加者は「天才タイプ」を選ぶ確率が高いことが分かった。
この差が生じなくなるのは、「努力家タイプ」の起業のほうが、起業してからの年数が4年長く、さらに開業資金が4万ドル多い、という好条件が重なった場合のみだった。
「才能」に目を奪われてしまうと、同じかそれ以上に重要なもの、すなわち「努力」に目が行かなくなるということ
努力と才能の「達成の方程式」
「才能」が重要ならば、「努力」はその2倍も重要である
一流の人は「当たり前のこと」ばかりしている
圧倒されると「才能がすごい」と思ってしまう
自分が「ラク」だから人を神格化する→そうすれば現状に甘んじていられる。
偉業を達成する人びとは「1つのことをひたすら考え続け、ありとあらゆるものを活用し、自分の内面に観察の目を向けるだけでなく、ほかの人々の精神生活も熱心に観察し、いたるところに見習うべき人物を見つけては奮起し、あくなき探求心を持ってありとあらゆる手段を利用する」
「才能」「努力」「スキル」「達成」はどのように結びつくのか?
「才能」とは、努力によってスキルが上達する速さのこと 才能×努力=スキル
「達成」は習得したスキルを活用することによって現れる成果のこと スキル×努力=達成
「達成」を得るには「努力」が2回影響する
「2倍の才能」があっても「1/2の努力」では負ける
「才能」と「スキル」は別物だとはっきりと認識する必要がある
「ものすごく頑張る」のは「やり抜く力」とはちがう
「情熱」「粘りは強さ」は同じものではない
「情熱」とは、ひとつのものに専念すること
「熱心さ」ではなく、「ひとつのことにじっくりと長い間取り組む姿勢」
「哲学」がなければ失敗する
成功するには「やるべきこと」を絞り込むとともに、「やらないこと」を決める必要がある。
「なんでも必死にがんばる」のは意味がない
目指す方向が複数あったら進まない
「最初からうまくできなくても、何度も挑戦をしなさい」ではなく、「何度やってもダメだったら、ほかのやり方を試すこと」
「功績の偉大さ」で比較した場合、知能指数の高さとほとんど関係なく、「知能」と「功績」の関連性は極めて低い
「超一流の偉人」と「たんなる偉人」の決定的な相違点は4つの「動機の持続性」にまとめられる
・遠くの目標に視野を入れて努力している。晩年への備えを怠らない。明確な目標に向かって努力している
・いったん取り組んだことは気まぐれにやめない。気分転換に目新しさを求めて新しいものに飛びつかない
・意志力の強さ、粘り強さ。いったん目標を決めたら守り抜こうと心に誓っている
・障害にぶつかっても、あきらめずに取り組む。粘り強さ、今期強さ、辛抱強さ
「やり抜く力」は伸ばせる
人間のあらゆる特徴は「遺伝子」と「経験」の両方に影響を受けるということ。
人によって「やり抜く力」の強さに差があるのは、ある程度は遺伝的な要素によるが、経験による部分も大きい。
1「やり抜く力」や「才能」など、人生の成功に関わる心理学的な特徴は、遺伝子と経験の影響を受ける
2「やり抜く力」をはじめ、いずれの心理学的な特徴についても、その遺伝に関係する遺伝子はたったひとつではない
3遺伝率の推定値を見れば、形質の発言の仕方は人によってさまざまであることがわかるが、「平均」がどれだけ変化しているかは、遺伝率を見てもわからない
ひとりが賢くなると、まわりも賢くなっていく
年上ほど「やり抜く力が強い」というデータ
私たちが自分の人生哲学を見出し、挫折や失敗から立ち直ることを学び、さっさと見切りをつけるべき「重要度の低い目標」と、もっと粘り強く「重要度の高い目標」の違いをしっかりと認識するにつれ、「やり抜く力」は伸びていく。「成熟」のストーリー(体験談)が示しているのは、年を取るにつれて、私たちの「情熱」と「粘り強さ」を持続させる力は強くなるということ
「環境」がかわると、一瞬で自分が変わる
状況が変われば、それに応じて生活の仕方を変えなければならない。そして、地球上でもっとも適応能力にたけた人類は、変化する。困難に立ち向かうのである。言い換えれば、私たちは必要に迫られれば、変化する。必要は「適応の母」なのだ。
やり抜く力と年齢に関して
「やり抜く力」は、育つ時代の文化的な影響を受ける
「やり抜く力」は、年齢とともに強くなる
「あきらめる」ことがいいとき、悪いとき
私たちが何かをやめる時には理由がある。だとしても別の理由で辞めるのだ。何かをやめようと思うときには、次の4つのうちのどれかが思い浮ぶのではないだろうか
・つまらない
・そんなに頑張る価値はない
・自分にとって重要ではない
・どうせ無理だから、もうやめたほうがいい
このような考え方は、道徳的に悪いわけでも何もない
「やり抜く力」の鉄人たちも、目標をあきらめることはある。ただし、重要度の高い目標ならば、歯を食いしばってでも、最後までやり遂げようとする
一番重要なことは、「やり抜く力」の鉄人たちは「コンパス」を替えないことだ
「やり抜く力」を強くする4つのステップ
・興味:自分のやっていることを心から楽しんでこそ「情熱」が生まれる
・練習:「粘り強さ」の一つの表れは「昨日よりも上手になるように」と、日々の努力を怠らないこと
・目的:自分の仕事は重要だと確信してこそ、「情熱」が実を結ぶ
・希望:「やり抜く力」の最終段階だけではなく、あらゆる段階に欠かせない。ひたすら自分の道を歩み続ける姿勢は、計り知れないほど重要
「やり抜く力」を内側から伸ばす
「興味」を結びつける
・人は自分の興味に合った仕事をしているほうが、仕事に対する満足度がはるかに高かった
・人は自分のやっている仕事を面白いと感じている時のほうが、業績が高くなる
その人がどれくらい成功するかを左右する「決定投票」は、その人がその仕事を「どれだけ切望し、どれだけ強い情熱と興味を持っているかにかかっている」
ほとんどの人は「これだ」と思うのが見つかるまでに何年もかかっており、そのあいだ、様々なことに興味を持って挑戦してきたことが分かった
自分でははっきりと気づかずに「関心」を抱いている
・ほとんどの人は中学生くらいの時に、特定の職業への興味のあるなしがぼんやりと見えてくるということ
・興味は内省によって発見するものではなく、外の世界と交流する中で生まれる。興味を持てるものに出会うまでの道のりは、すんなりとは行かず、回り道が多く、偶然の要素も強いかもしれない
・興味が持てることが見つかったら、今度はさらに長い時間をかけて、自分で積極的に掘り下げていかなければならない。最初に興味を持ったきっかけの後に、何度も繰り返し、さらに興味をかき立てられる経験をする必要がある
スキルは「年数ごと」に「3段階」で進歩する
興味のあることを見つけて掘り下げていく段階を、「初期」と呼ぶ
この段階で最も望ましいのは、優しくて面倒見の良い指導者を得ること。また初期にはある程度の自主性が尊重されることも大切。
最初に厳しくしすぎると「取返し」がつかなくなる
興味を観察する親が、子供の「情熱」を伸ばす
人間は誰でも見慣れたものからは視線をそらし、目新しいものに目を向ける習性がある
成功する「練習」の法則
「やり抜く力」の強い人は普通の人よりも、一つのことにじっくりと取り込む
「やり抜く力」の鉄人たちの誰もが「カイゼン」を行っていること。すでに卓越した技術や知識を身につけているにもかかわらず、さらに上を目指したい、という強い意欲を示す
「どれだけ長時間、取り組んだか」だけではなく、「どれだけ集中して、質の高い取り組みを行ったか」が大事
エキスパートたちの練習時間が並外れて多いことではない。一番重要なことは、エキスパートたちの練習の仕方が、他とは一線を画するという点である
エキスパートはこの「3つの流れ」で練習する
1.ある一転に的を絞って、ストレッチ目標(高めの目標)を設定する
2.しっかりと集中して、努力を惜しまずに、ストレッチ目標の達成を目指す
3.改善すべき点が分かった後は、うまくできるまで何度でも繰り返し練習する
「意図的な練習」の原則は誰にでも当てはまる
人間の持つどんなに複雑でクリエイティブな能力も、それを構成するスキルは細分化することができる。そして、一つのスキルは、練習をしつこく積み重ねることによって習得することができる
時間の長さよりも「どんな練習をしているか」が決め手になる
「意図的な練習」ができるのは最大1時間で、そのあとは必ず休憩を入れる。どんなに頑張っても、1日3―5時間が限界
何も考えずにただ練習をこなすだけの進歩のない「マインドレスな練習」も、それはそれで苦痛に感じる
「やり抜く力」の強い生徒は、「情熱」や「やり抜く力」の弱い生徒たちよりも、「意図的な練習」の時間が長く、「楽しさ」も「大変さ」も強く感じていた
「やり抜く力」の強い生徒は、他人よりも多く「意図的な練習」に取り組んでいるうちに、次第に努力が報われるようになり、努力をすること自体が好きになるという考え方ができるかもしれない。「努力の結果が出た時の高揚感がクセになる」ということ
ラクな「練習」はいくら続けても意味がない
・「優秀な人」の姿勢を知る→「練習」や「達成」についての考え方は、変えられる
・毎日、同じ時間、同じ場所での「練習」をつくる→「習慣化すること」
・「意図的な練習」への向き合い方を変えること→批判はチャレンジを楽しむ邪魔になるので、批判を取り除いて自分をラクにする
「目的」を見出す
「興味」は情熱の源。そして「目的」もやはり情熱の源
「やり抜く力」の強い人びとが持っている深い情熱は「興味」と「目的」によって支えられている
一般的な銃順序は、どちらかと言えば個人的な「興味」からスタートして、やがて真剣に取り組むようになり、ついには人の役に立つという「目的」を見出すという流れになる
「目的」という言葉の中心的な概念は、「自分たちのすることは、ほかの人々にとって重要な意味を持つ(役に立っている)」と考える
「やり抜く力」の強い人は、普通の人に比べて「意義のある生き方」「ほかの人々に役に立つ」をしたい、というモチベーションが著しく高い。さらに「目的」のスコアが高いほど、「やり抜く力」が高い
「意義を感じない仕事」を続けることは耐えられない
どの職業でも「天職」と感じている人の割合は変わらない
「仕事」「キャリア」「天職」のちがいは、職種によって生じるものではない
天職との出会いは、完成したものを見つけることではありません。受け身の姿勢ではなく、自分から積極的に行動することが大事
「役に立ちたい」プラス「興味」が大きな力を生む
「手本の人物」に出会うことが重要な体験になる
確固たる「目的」を抱くようになった人は、必ず若いときに、「目的」を盛った生き方の手本となる人物(ロールモデル)に出会っている
もっと「意義」を感じられるように変化を起こす
「希望」が背中を押す
手応えがないと「学習性無力感」にハマってしまう
「無力感」をもたらすのは苦痛そのものではなく、「苦痛を回避できないと思うこと」である
回避できない苦痛は、食欲減退、睡眠障害、注意力や身体活動の低下などうつ病の症状をもたらすことが明らかになった
「楽観主義者」は自分の苦しみは一時的で特定の原因があると考えるが、悲観主義者は自分の苦しみを変えようがない原因のせいにして、自分にはどうすることもできないと考えてしまう
鉄人は楽観的に考える
失敗への「解釈」のちがいが粘り強さを生む
マインドセットが「努力できるかどうか」を決める
「成長思考」の人は、人間は変われる、成長できる、と信じている人たちは、チャンスと周囲のサポートに恵まれ、「やればできる」と信じて一生懸命努力すれば、自分の能力をもっと伸ばすことは可能だと考える
「固定思考」の人は、人はスキル(自転車に乗る、セールストークを覚えるなど)を習得することはできるが、スキルを習得するための能力、すなわち「才能」は、鍛えて伸ばせるものではないと考える人たち
「やり抜く力」を外側から伸ばす
「やり抜く力」を伸ばす効果的な方法
厳しくしつつも暖かく支える
「自分で決められる」感覚を持たせる
親が愛情深くて「どっしり」と構えている
自尊心が「自分ならできる」という自信につながる
自由を与えると同時に「限度」を示す
「親をまねる」という強力な本能
「まねをする」のと「見習う」は雲泥の差がある
「高い期待」と「惜しみない支援」を組み合わせる
「無理」という思い込みがなくなる体験を持つ
「支えてくれる人」との出会いが成功をもたらす
「しっかりと見る」ことで変化を起こす
課外活動を絶対にするべし
親以外の大人の指導を受けること
「大変」なのに「楽しめる」唯一の行動
「1年以上継続」「進捗」を経験した人が成功する
人は自分の性格に適した状況に引き寄せられるが、その結果、さらにその特徴が強化される→「対応原則」と名付けられる
私たちは自分の性格特性に合った状況に引き寄せられるが、そのような状況に身を置くことで、その性格特性がさらに育まれ、強化され、増幅されるということ。この関係は、好循環と悪循環のどちらにもつながる可能性がある
「最後までやり通す経験」から人格形成が形成される
「難しいこと」を続けると、貪欲に取り組めるようになる
「勤勉さ」は練習によって身につけられる
まわりに「やり抜く力」を伸ばしてもらう
やり抜く力を身につけるにも、大変な方法と楽な方法がある。大変な方法は独力で頑張ること。楽な方法は同調性を利用する
「徹底的なコミュニケーション」が人を変える
何でも試して「うまくいったこと」を続ける
「言葉遣い」を変えて、価値観を変える
ささいなことでも「最善」を尽くす
「ごほうび」だけではうまくいかない
以上、なが~い、なが~いまとめでした。心に響く言葉がいくつもありすぎました。
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